定番ネタ、投下。
タイトルが決まらないんで、こんなんですみません。
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勢い良く病室の扉が開き、「ソーマ」と名を呼びながら駆けこんで来る人影に、病室の中に居たユウトとソーマは揃って溜息を吐いた。
「ソーマ、大丈夫か? お前怪我したって……」
「大丈夫だ。こいつが大げさなだけだ」
視線を投げられて告げられた言葉に、ユウトは肩を竦める。
「大げさじゃないと思うけどね。放っておくとソーマは怪我の手当てしないじゃないか」
「この程度の怪我、放っておけば治る」
「お前ね、そういう問題じゃないだろ。手当しろってあれ程……」
「リンドウさん。後は任せます。俺は任務あるんで」
全くユウトの事など目に入ってない様子のリンドウの言葉を遮って、告げる。
それ以上は、二人きりになってからやって欲しいと思っていた。
「ソーマは今日はもう、休んでて良いから」
それじゃあお大事に、とユウトは急ぎ病室を後にする。
ソーマがこの程度の怪我でとか何とか言っているのが聞こえたが、……聞こえないふりをした。
そうして病室には、リンドウとソーマの二人が残された。
ベッドに腰をおろしていたソーマが立ち上がる。
そのまま病室から出て行こうとするのを、リンドウが腕を掴み引きとめた。
掴んだ腕を引き、腕の中に捕らえる。
驚き硬直した身体を、強く抱きしめた。
「リンドウ!」
我に返り抗議の声を上げるソーマを無視して、強く抱きしめる。
どうにか逃れようと身じろいでいた身体が大人しくなって、溜息と共に背に腕が回された。
そうされてやっと、リンドウはほっと安堵の息を吐き出す。
ソーマの実力は知っているし、今は以前のように無茶することもなくなったから、大丈夫だろうとは思っている。
それでも、任務を終えてアナグラへと戻って、途端にエントランスでコウタに「ソーマが怪我をして病室にいる」と聞かされた時の衝撃は、相当なものだった。
何も考える事が出来なくて、そのまま真っ直ぐに病室へと来た。
ソーマの顔を見て、こうして腕の中に捕らえて、背に回された腕から温もりを感じて――やっと、無事だと安心出来た。
大丈夫だろうと思っていても、それでも不安で仕方がなかった。
そんなリンドウの思いを察したのか、ソーマが告げる。
「大した怪我じゃない」
「お前は、大怪我でもそう言うからな」
「人の事言えねえだろ」
そう言って、ソーマは微かに笑う。
無事なんだと、大丈夫なんだと分かっても、解放してやれそうになかった。
一度手放したからこそ、もう二度と失えないと思う。
だから頼むから心配させるなと、リンドウは思う。
その思いを込めて強く強く抱き締めて、腕の中から「いい加減、放せ」と抗議の声が上がっても、解放してやれなかった。
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定番ネタですね。
戦いのある世界観だと、怪我ネタも定番になりますね。
病気ネタもいつか書きたいなあ。
どっちを病気にさせようか。
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