それが、全ての始まり

ずっと、書いてみたいと思っているのに、纏まらない話を小ネタとして投下。

そのうち纏まったら、此処から下げて、短編として上げるかも。

————————————————————————————————————————————————

「姉上、あいつは……ソーマは一体なんなんですか」

「リンドウ。此処で姉と呼ぶなとあれ程……」

「今はそんなことはどうでも良いんです。あいつは、一体……」

ツバキの言葉を遮って、リンドウはそう告げる。

小さく溜息を零してツバキは言葉を紡ぐ。

「ソーマは特殊な生い立ちだ。子供らしくない、と言いたいんだろう?」

「まあ、そうですが。まだ12ならもう少し」

子供らしくても良いんじゃないかとリンドウは思う。

子供特有の我儘もなく、ただ淡々と生きているようにしか見えないのだ。

「だから、特殊な生い立ちだと言っただろう。そのうちお前も知るかもしれないが、今私が言えるのはそれだけだ。まあ、仲良くしてやってくれ。私では恐らく無理だからな。だが、お前なら或いは」

「まあ、放ってはおけませんからね」

人との接し方を知らないのかそれとも、何か事情があるのか。

周りを拒絶するかのような雰囲気は、とても子供がもつものじゃない。

まだ周りにいる大人に甘えてもいい年なのだから。

「頼んだぞ」

ツバキのその言葉にうなずく事で返し、リンドウは立ち去る。

その背を見送って、ツバキもその場から立ち去った。

                     ■ ■ ■

「アラガミを殲滅する為に此処に居る。俺はその為に生まれて来た」

ソーマが、まだ12の少年が発したとはとても思えない言葉に、リンドウは驚く。

何を言えばいいのか分からなくて、直ぐに言葉は出て来なかった。

何故ゴッドイーターになったのか。

そんな話だったはずだ。

適合したからというのが一番の理由だが、だがそれでも、12でゴッドイーターになるのは、流石に早いと思ったからだ。

15、6でゴッドイーターになる者が殆どだ。

12という年齢でゴッドイーターになったのは、ソーマだけだろう。

だから、純粋に疑問だったのだ。

適合したとしても、今直ぐにゴッドイーターにならなくても良いと思ったから。

12の子供が身を置くには、過酷過ぎる場所だから、此処は。

だが、返って来た言葉に、何と返せばいいのだろうか。

その為に生まれて来た。とはどういう事か。

恐らくは誰かがそう言ったのだろうが、一体誰が……。

浮かぶのは、ツバキの言った「特殊な生い立ち」という言葉。

そこから推測される事はそう多くはない。

両親のうちどちらがそう言ったのか、或いはどちらもがそう言ったのか分からないが。

何となく分かった気がした。

気になっていたずっと。

暗い、と一言で表せない程に暗い色のその瞳に。

まるで深淵を覗きこんだような気分にさせられるのだ、ソーマの目を見ると。

絶望なのか諦めなのか。

どちらにしろ、12の子供が持つモノではない。

一体どんな環境に置かれていたのか。

分からないが、分かった気がした。

その行動は思わず、だった、本当に。

腕の中暴れる存在に気づいて――リンドウはいつの間にかソーマを抱き寄せて腕の中に捉えていた事を知る。

本当に無意識の行動だった。

暴れる存在を、更に強く抱きしめる。

そうすれば諦めたのか大人しくなって……だからその状態のままフード越しに頭を撫でた。

どんな言葉を紡げばいいのか、何と言ってやればいいのか、分からなかった。

ただただ、どうしようもなく悲しかった。

恐らくはそれが全ての始まり。

守りたいと思ったのも、傍に居てやりたいと思ったのも。
そして、――その感情が別のモノへと変化するのも。

あの時が、始まり。

————————————————————————————————————————————————

12歳のソーマと20歳のリンドウの話。

PVの時の後、ですね、この話は。

書きたいんだけど、どうにも纏まらないんですよね、これ。

上手い事短編に纏まってくれると良いんだけど。

コメント