投稿テストのついでに

またアップグレードが入ったので、投稿テスト。

ついでに小ネタを一つ投下していきます。

本当に短いです、多分。

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ユウトとコウタが任務を終えてアナグラに戻った丁度その時。

リンドウの腕を掴み、かなり強引に引っ張って訓練所へと入って行くソーマの姿が見えた。

リンドウもソーマも今日は休みではなかったはずだ。

確か任務に行っていたはずだったと思いながら視線を巡らせば、何とも言えない表情で訓練所に消えた二人を見ているタツミが視界に入った。

ああそう言えば、タツミとリンドウとソーマと三人で任務に行ったはずだったと思いだす。

そう思いながらユウトはタツミへと近づいた。

「タツミさん」

「ん? なんだ」

「……今訓練所に入って行った二人と任務でしたよね」

「良く知ってるな」

「一応、部隊員の任務予定は把握してますんで」

「お、流石リーダーだな」

そう言ってタツミは笑う。

俺は部屋に戻るよと言って去って行くコウタを見て、ユウトは再びタツミに視線を戻した。

「それで、何かあったんですか、あの二人」

「まあ、な。リンドウさんってあんなに誤射多かったか? 前に一緒に任務に行った時はそんな事なかったと思ったんだけどな」

「ああ、ソーマが撃たれるんですよね」

「……そう言うって事はいつものことなのか」

「ええまあ。あの二人と一緒に任務に行くと、いつもです。でも、いつもの事なのに何であんな事に?」

「……誤射しないように訓練しろ、って事らしい。まあ、なあ。訓練してどうにかなるとは思えないんだけどな、あれは」

ちらりとタツミが視線を向けた先に居たのは……カノンだった。

そう言えば、カノンは防衛班だったなと思う。

まあそれはともかく、訓練してもどうにもならないという意見には同意だった。

ソーマが我慢の限界に来たのだろうと思う。なら、放っておくかと思い、ユウトはタツミに礼を言って自室へと向かった。

                     ■ ■ ■

訓練所では、リンドウの誤射に飛ばされて、壁際で座り込むソーマの姿があった。

訓練用のアラガミは既に倒されている。

恐らくは誤射した後リンドウが倒したのだろうと、ソーマは思っていた。

ぐったりと壁に背を預けて座り込み、ソーマは溜息を吐きだす。

「何で俺を撃つんだ……」

「お前が視界に入ると、どうしても意識がそっちに行くんだよな」

「……お前、任務中に何考えてんだ」

ソーマがそう問えば、リンドは少し考えて、そして仕方なさそうに言葉を紡ぐ。

「子供の時からお前が無茶ばっかりするからだろ。一緒の任務の時は、お前を見るのが癖になってるんだよ。前は銃は使わなかったから良かったんだけどな」

いくら意識がソーマへと行っても、流石にブラッドサージでソーマに斬りかかる事はなかった。

アラガミに斬りかかりつつ、常に視界の端にソーマの姿を捕えるようにしていた、以前からずっと。

子供の時から無茶ばっかりするソーマのフォローに、いつでも回れるように。

その癖がどうしても抜けないのだ。

6年そうして来たのを今更どうにか出来るはずもないとも思うが、流石に銃を使うようになった今は、どうにかしなければとは思う。

壁に背を預けて座り込み、驚いたように目を見開きソーマはリンドウを見上げる。

知らなかったとソーマは思っていた。

だが思い返してみれば、いつだって良いタイミングでリンドウはソーマをフォローしていた。

守られているとソーマが気付かないギリギリのタイミングで。

ずっとずっと守られていたのだと、今更ながら気付く。

説明のつかない感情が渦巻いて、それを誤魔化すようにソーマは溜息を吐きだした。

「……そう、言えばいいだろ」

「言いたくなかったんだよ」

そう、言いたくなかったのだ。

リンドウが勝手にしていた事で、ソーマが知らなくても良い事なのだから。

自己満足でしかないのだ、結局は。

守りたいなんて感情は、守られる側の気持ちまで考えていないのだから。

特に昔のソーマは、守られる事を良しとしなかったから。

だからこそ、言うつもりはなかったのだ、この先もずっと。

それを今口にしたのは何故なのか、自分でも分からなかったが。

座り込んでいたソーマが立ちあがり、此処に来た時と同じようにリンドウの腕を掴み無言で訓練所の外に向かって歩き出す。

「ソーマ?」

「戻るぞ」

もういいのかという意味を込めてソーマの名を呼べば、簡潔な言葉が返って来る。

リンドウの腕を掴み少し前を歩き、振り返る事さえしないソーマを見て、リンドウは立ち止まる。

どうしたんだ? とソーマが振り返る前に、掴まれている腕を引いた。

突然の事にバランスを崩して、倒れこんで来たソーマの身体を抱きとめる。

背後から腕を回して抱き締めて、上からソーマの顔を覗きこめば――思った通り、ソーマの顔は微かに赤くなっていた。

見られた事に気付いたソーマが、リンドウの視線から逃れるように顔をそむける。

そんなソーマをしっかりと抱き締めて、リンドウは微かに笑った。

以前とは違う反応に、嬉しさと共に複雑な感情がこみあげる。

ただそう、守られていたと知って、それでもそれをソーマが嫌だと思っていない事が分かって、それだけは本当に嬉しいと、良かったと思っていた。

だが、ソーマが変わった原因を思えば、やはり複雑で。

けれどそんな感情は押し隠して、ただただ無言でソーマを背後から抱き締め続ける。

温もりを感じて、互いの存在が此処にある事を実感する。

失わなくて良かったと、どちらもが思っていた。

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中途半端な終わりですが、投稿テストのついでなので。

そうでした、グレイセスF本編はクリアしましたよ♪

未来への系譜編があるんでもう少し落ちますが、小ネタ投稿には出て来るかもです。

あと一言。

訓練所って確か上から見えるようになってたと思うんですが。

そんな場所でいちゃついてて良いんですかね。

それにしても、甘いですね、これ。

思ったより長くなったな。

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