書き掛けで放置してある中から、小ネタ投下。
これも、どうにも上手い事続かないんだよね。
どうにか出来そうになったら、此処から下ろして短編として上げます。
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どうにも眠れなくて、ユウトは部屋を出てエントランスへと向かう。
どこに居ても一緒だったが、何故か足は真っ直ぐにエントランスへと向かっていた。
エレベーターを降りて、誰も居ないはずのエントランスのソファに人影を見つける。
真夜中と言って良い時間。
こんなところに他に人が居るとは思ってなかったユウトは驚いていた。
静かに、近づく。
近づいてみれば、ソファに座っている人物は、座ったまま寝ていた。
寝るなら部屋に戻った方がいいと思い、ユウトはソファで眠るソーマの肩を掴み声を掛けながら揺らす。
「ソーマ。寝るなら部屋に戻った方がいい――」
そこで寝ていたソーマがハッとしたように顔をあげて、信じられないと言わんばかりの表情でユウトを見る。
驚き、それ以上ユウトは言葉を紡ぐ事が出来なかった。
けれど、その表情は直ぐに落胆したモノへと変わり――とは言え僅かな表情の変化でしかないから良く見なければ分からないが――肩を掴んでいた手を振り払われた。
「こんな時間になにしてる」
「それはこっちの台詞。何でこんなところで寝てるんだよ。寝るなら部屋に戻れって」
「どこで寝ようと俺の勝手だ」
「まあ、そうだけど」
言いながらユウトはソーマの隣へと腰を下ろす。
咎めるような視線をソーマが向けて来るが、それには気付かないふりをした。
先程、ユウトがソーマを起こした時、信じられないと言わんばかりの表情でユウトを見ていたソーマが、音を伴わない言葉を発したのを見てしまった。
『リンドウ』とソーマの唇が確かにそう動いたのを、見てしまったのだ。
察する事しか出来ないが、こんな風にエントランスで眠るソーマを起こした事があったのだろう。
それもきっと一度や二度じゃない。
誰も居ないエントランスで眠るソーマを起こすのは、リンドウだけだったのだろう。
ユウトだって此処に来たのは偶然だ。
いつも通り眠れていたならば、きっと知る事もなかったのだから。
「なあ、ソーマ」
「なんだ」
「部屋に戻らないのか?」
「お前は戻らないのか」
「俺は、もう少しいようかな。眠れなくてね」
「お前でもそんな事があるんだな」
そう言ってソーマは微かに笑う。
失礼な、と思ったが事実だったので、言うのは止めた。
眠れないなどと言う事は、ユウトにはあまりないのだから。
そうして再びエントランスには沈黙が落ちる。
思い出すのは、リンドウがユウトに出した命令だった。
残酷な命令だと思う。
ユウトにとっても、そしてソーマにとっても。
ソーマが傍にと望んでいるのは他の誰でもないと言うのに。
そんな事さえ分からなかったのだろうか、彼は。
それを知りつつ命令を守り続けるのも、やり切れない。
かと言って、こんな状態のソーマを独りにすることもまた、出来なかった。
リンドウの神機と腕輪が見つかった今、彼の生存は絶望視されていて。
だからこそ尚更思う。
もう良いだろうと。
自分は十分に命令を果たしたと。だから頼むから帰って来てくれと。
自分と、そしてソーマの為に。
そして頼むから、あの残酷な命令を取り消して欲しかった。
無言で立ちあがる気配が隣からする。
躊躇するようにしばらくその気配はその場に留まって、そして――。
「お前も早く戻れ」そう、本当に小さな声が聞こえて、その気配は遠ざかって行った。
ソファに沈み込むように深く腰掛けて、天井を仰ぎ見る。
そうしてユウトはそっと目を閉じた。
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結構長かったかな? もう少し書けば短編になりそう?
取り敢えず小ネタとして投下。
そのうち短編になるかも、です。
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