SS投下

タイトルも決まってないSSを一つ投下していきます。

私が書くモノにしては甘い、かも。

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ソーマが任務から戻ると、偶然その場にいた、という様子でリンドウがソーマに声を掛ける。

けれどそれが、ふり、でしかない事くらいは、ソーマにも分かった。

恐らくは、ソーマが戻って来るのを待っていたのだろう。

そう思いながらソーマは、今日のリンドウの任務を思い出す。

新人の教育係であるリンドウは、新人と任務に行く事が多い。

今日も確か、そうだったはずだ。

無言で自室へと向かうソーマの後を、リンドウはついて行く。

その場にいた誰もが、いつもの事、と思っていて、誰ひとり、リンドウの様子が可笑しい事に気付かなかった。

”普段通り”の二人は、エレベーターへと乗り込み、そのままソーマの部屋へと向かった。

                     ■ ■ ■

ソーマの部屋の寝台。

以前は神機が置かれていたそこは、今ではすっかり片付いていて、ちゃんとベッドとして機能している。

そこに二人並んで座って、途端にふわりと漂う血の匂いに、ソーマは眉を顰めて問いかけた。

「お前、怪我してるのか」

「ん? ああ……俺じゃあない」

「そうか、ならいい」

俺じゃないと言う事は、恐らくは一緒に行った新人だろうと、ソーマは思う。

誰かが怪我したくらいで、と思うかもしれないが、責任を感じる気持ちはソーマにも分かった。

ソーマは最近、部隊を率いる事が多い。

そうなって分かった事も多かった。

自分の、ほんの僅かな判断の遅れで誰かが怪我をする事がある。

怪我をするのは、結局は本人のせいではあるが、それでも。

もう少し早く、そう思う事はやはりあるのだ。

以前ならば絶対に分からなかった事。

だが今ならば、分かる。

分かるからこそ、言葉を掛けることも出来ない。

何を言ってもどうにもならないこともまた、分かっているから。

かと言ってこのまま放っておくのもどうかと思う。

どうすればいいのか分からなくて、だから、こんな時リンドウならどうするかと考えてみる。

そうして辿りついたのは――。

驚いた顔でリンドウはソーマを見る。

そんなリンドウの頭の上にはソーマの手が乗っていて、それがぎこちなく動いている。

しばらく呆然とソーマを見ていたリンドウは、次の瞬間盛大に吹き出した。

笑われて、ソーマの機嫌が一気に下降していくのが分かる。

分かるが――止まらない。

慰め方なんて、知らないんだろう、恐らくは。

どうすればいいのか分からなくて辿りついた答えが”これ”だと思えば、可笑しくて、けれどそれだけじゃない感情を誤魔化すように、笑う。

ぎこちなくリンドウの頭を撫でていた手は、既にリンドウの頭の上からなくなっていて、ほんの少しそれを寂しく思う。

頭を撫でられるなんて、一体いつ以来だと思い返せば行きつくのは、ゴッドイーターになる前で。

それと共に浮かぶ苦い感情を抑え込むために、顔をそむけたままのソーマへと手を伸ばす。

その身体を引き寄せれば、驚いたのかそむけていた顔がリンドウへと向けられて。

何か言葉を発する前に、リンドウは自身のそれで、ソーマの口を塞いだ。

軽く口づけて離れれば、驚いた様子でリンドウを見つめるソーマと目が合って、にやりと笑ってリンドウは告げる。

「慰めてくれるなら、俺は、ソーマからしてくれるって方が良いんだけどなあ」

言いながら、リンドウは引き寄せていたソーマの身体を解放する。

ふざけるな、と言われて終わりだろうと、驚いた様子で固まったまま動かないソーマを見て思っていた。

だが――。

突然、伸びて来たソーマの手に、胸倉を掴まれて引き寄せられて――重なる、唇。

触れたと思った次の瞬間には、軽く突き飛ばされていた。

呆然と、無言で立ちあがり部屋を出て行くソーマを、リンドウは見送る。

扉の閉まる音に我に返って、リンドウはソーマの部屋の寝台に腰を下ろしたまま、微かに笑った。

出て行くソーマの顔が耳まで赤くなっていたのを思い出して、追いかけるべきかと一瞬考える。

だが、いずれ戻って来るだろうと思い、リンドウはそのままソーマの寝台へと横になった。

今なら、良い夢を見られそうだと思いながら、目を閉じた。

                     ■ ■ ■

「うわ、どうしたんだよ、ソーマ。顔、赤いけど……」

何となく来てしまったエントラスでそうコウタに言われて、色々思い出し恥ずかしいやら腹が立つやらで、ソーマはその苛立ちをコウタへとぶつける。

無言で殴られて、不満をぶちまけるコウタを無視して、ソーマは溜息を吐きだした。

出て来てしまったが、ソーマの部屋なのだ、あそこは。

今日はもう任務もないし、喚き続けるコウタの傍に居るのも、鬱陶しい。

かと言って、今部屋に戻れば、リンドウと顔を合わせる事になる。

リンドウの事だ、ソーマが部屋に戻るまで居るだろう。

溜息を吐き出して、諦めたようにエントランスのソファへと座る。

深い溜息を零して、目を閉じた。

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突然浮かんだので、書いてみました。

甘いので、何か色々どっかから出そうなので、この辺で。

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